仏携帯電話サービス会社のイリアッドは5日、ロシアのビンペルコムと香港の複合企業ハチソン・ワンポアからイタリアの携帯電話関連資産を取得することで合意したと発表した。これによってイリアッドは伊市場に進出し、同国4番目の携帯電話サービス会社となる。
ロシア携帯電話サービス大手のビンペルコムとハチソンは昨年8月、イタリアで展開する携帯電話サービス事業を合併し、折半出資の合弁会社を設立することで合意した。しかし、これによってイタリアで自前の通信ネットワークで携帯電話サービスを展開する事業者が4社から3社に減ることから、EUの欧州委員会が競争上の問題があるとして難色を示している。
イリアッドはビンペルコム子会社のウインド、ハチソン子会社のH3Gが保有する第3世代(3G)、第4世代(4G)向け周波数帯の一部を4億5,000万ユーロで取得。さらに数千カ所の小型基地局を取得する。この資産を基盤に、イタリアで携帯電話サービス事業を展開する計画だ。
イリアッドは傘下のフリー・モバイルを通じて、2012年に仏携帯電話サービス市場に参入。低価格を武器に急成長し、現在は同市場で約17%のシェアを持つ。この成功体験を生かし、海外に進出することを模索していた。
今回の取引は、伊市場進出を目指すイリアッドと、一部資産の売却によって競争上の問題を是正し、合併認可を取り付けたいビンペルコムとハチソンの思惑が一致した格好。ウインドとH3Gの合併が欧州委から承認されることが条件となる。取引が実現すると、イリアッドはイタリアでテレコムイタリア、ボーダフォン、ビンペルコムとハチソンの合弁会社に次ぐ第4の携帯電話サービス企業となる。