欧州委員会は14日、米グーグルがインターネット広告事業でEU競争法に違反した疑いがあるとして、同社に異議告知書を送付したと発表した。これまでに欧州委はグーグルに対し、比較ショッピングサービスと携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」をめぐって異議告知書を送っており、今回が3件目。グーグルは10週間以内に反論するか、改善策を提示する必要がある。同社のネット広告事業は売上高の約90%を占めており、欧州委が最終的に競争法違反と判断した場合、欧州事業に深刻な影響が及ぶ可能性がある。
欧州委が問題視しているのは、グーグルの検索連動型広告。グーグルのウェブサイトや傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」、さらにグーグルと提携関係にある外部サイトの検索結果画面にテキスト形式の広告を表示するサービスで、広告主向けの「アドワーズ」と媒体社向けの「アドセンス」がある。欧州委によると、グーグルは同社の広告配信サービスを利用する第3者のサイトに対し、グーグルと競合するサービスが配信する広告の掲載を禁止する一方、グーグルが配信する広告を最も目立つスペースに掲載するよう義務づけており、こうした行為はEU競争法が禁止する市場支配的地位の乱用にあたるとの疑いを強めている。
一方、欧州委は同日、すでに競争法違反を警告しているグーグルの比較ショッピングサービスをめぐり、同社に補足異議告知書(supplementary Statement of Objections)を送付したことを明らかにした。欧州委は昨年4月、グーグルが検索結果ページで自社の商品価格比較サイト「グーグルショッピング」を優先的に表示する一方、競合サービスの表示位置を下げるなどして消費者の選択を狭めているとの見解をまとめ、同社に異議告知書を送っている。新たな異議告知書には「欧州委の見解を裏付ける追加的な証拠やデータ」が盛り込まれているという。グーグルは8週間以内に回答する必要がある。
欧州委のベスタエアー委員(競争政策担当)は声明で、「グーグルは多くの革新的なサービスを開発し、われわれの生活にさまざまな変化をもたらしてきた。しかしだからといって、他社から競争や技術革新の機会を奪う権利がグーグルに与えられるわけではない」と強調した。