独高級車大手BMWのイアン・ロバートソン取締役(販売・マーケティング担当)は独業界紙『オートモビルボッヘ』(7月11日付)に掲載されたインタビュー記事の中で、新しい世代や顧客ニーズなどの変化に対応し、デジタル化など販売形態の改善に取り組んでいると明らかにした。英国でのオンライン販売は好評で、これまでに延べ30万人以上のユーザーが個々の希望に沿うようなモデルを提案する「ニーズ・アナライザー」を利用したという。
ロバートソン取締役によると、BMWは販売業務の改善に取り組むため、数年前に「フューチャー・リテイル・プログラム(Future-Retail-Programm)」をスタートした。ウェブサイトのデザインや構成を刷新したが、2012年に良いと感じたものが2016年には必ずしも良いとは限らないため、現在も改善に取り組んでいるという。ディーラー店舗もデザインの刷新や新技術の導入に加え、製品についての説明やアドバイスをする役割を担う「プロダクト・ジーニアス(Product Geniuses)」など新しい取り組みを実施している。
■ プロダクト・ジーニアスは増加傾向
同取締役によると、現在ではBMWの顧客の95%がディーラーを訪れる前にインターネットで情報を集めているため、プロダクト・ジーニアスが不明な点や車載装備について説明し、顧客がどのモデルを購入するかを決めた時点で従来の販売員が対応するシステムを取っている。
プロダクト・ジーニアスは現在、世界に約2,500人を配置しており、特に欧州と米国では増える傾向にあるという。英国は多くの面でパイロット市場の役割を担っており、同国ではオンラインと電話でもプロダクト・ジーニアスが対応している。英国では他国に先駆けて新車のオンライン販売も開始した。
■ 英国でのオンライン販売、好評も試乗の重要性も示唆
ロバートソン取締役によると、英国ではこれまでに延べ30万人以上のユーザーが「ニーズ・アナライザー」を利用している。
「ニーズ・アナライザー」は、5つの質問に答えると、システムがユーザーの希望に沿うようなモデルを提案するというもので、30万人のユーザーのうち約300人がオンラインで新車の購入契約を結んだという。ロバートソン取締役は購入率の低さについて、3万~4万ユーロの買い物をする際には実車を体験する機会が重要であることを示唆している、とコメント。また、BMWは「走る歓び」をスローガンとしているため、他社よりも試乗の機会を作ることが重要であると考えているとも語った。
同取締役は、ディーラーの店舗は小型化・デジタル化していくとの見通しを示す。同社では、例えばショッピングセンターで6週間、出店するといった契約のポップアップストアも世界的に展開しており、新たな顧客層にアクセスできる好機となっているという。同取締役は、「我々は顧客のいる所へ赴く」と述べ、柔軟な構造で対応していかなければならないとの見解を示した。