仏政府のアレバ支援、欧州委が本格調査に着手

欧州委員会は19日、仏原子力大手アレバに対するフランス政府の資金支援がEUの国家補助規定に抵触する疑いがあるとして、本格調査を開始したと発表した。政府による資本注入が公正な競争をゆがめ、アレバに不当な利益をもたらしていないかどうかに焦点を当てて調査を進め、公的支援策の妥当性について判断する。

仏政府が87%出資するアレバは、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて世界の原発市場が冷え込んだ影響などで、5年前から深刻な経営難に陥っている。同社は昨年7月、再建計画の一環として、原子炉事業の経営権をフランス電力(EDF)に譲渡することで合意。さらに今年1月には公的支援などを通じて50億ユーロの増資を実施するとともに、核燃料サイクル事業を統合して年内にも新会社を設立する計画を取締役会で承認した。これを受けて仏政府は4月、40億ユーロの資本注入を柱とするアレバの再建計画を欧州委に提出した。

欧州委のベステアー委員(競争政策担当)は声明で、「アレバ再建の規模と重要性を考慮して、再建計画が健全なものか、仏政府の支援策がEU単一市場における競争を不当に歪めることがないかどうかを慎重に見極める必要がある。アレバが政府から追加的な支援を受けることなく、将来にわたって事業の継続が可能かどうか確かめることが調査の狙いだ」と説明している。

仏財務相の報道官はAFP通信の取材に対し、「アレバに対する支援策が承認されると確信している」と強調。計画通り、来年初頭に増資を実施できるよう、欧州委に早期の決着を求めていく考えを示した。一方、アレバはコメントを控えている。

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