被用者には自分に関する人事記録を閲覧する権利がある。これは事業所体制法(BetrVG)83条1項第1文に記されたルールである。同項第2文にはさらに、閲覧の際に従業員の代表である事業所委員会(Betriebsrat)の委員1人を同伴させることができるとも書かれている。では、被用者は人事記録を閲覧する際に弁護士を同伴させることも可能なのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が12日に判決(訴訟番号:9 AZR 791/14)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は被告企業で倉庫管理を担当していた被用者が起こしたもの。同被用者は警告処分を受けたことから、弁護士同伴で人事記録を閲覧することを申請した。これに対し会社側は、人事記録のコピー作成を認めたものの、弁護士の同伴は許可しなかった。
原告はこれが基本法(憲法)で保障された「情報の自己決定権」の侵害に当たるなどとして提訴した。
1審と2審は原告敗訴を言い渡し、最終審のBAGでも判決は覆らなかった。判決理由でBAGの裁判官は、原告は人事記録のコピーを作成したうえで弁護士に相談することができると指摘。雇用主は人事記録のコピー作成を認めた場合、閲覧への弁護士同伴を拒否できるとの判断を示した。