独化学大手BASF(ルートヴィヒスハーフェン)のクルト・ボック社長は7月27日の決算発表で、農業化学部門を売却する考えはないことを明らかにした。同部門をめぐっては種子大手の米モンサントが買収交渉を進めているとの観測があった。両社が交渉を行ったかどうかは定かでないが、BASFは今回、売却の意志がないと表明することで、モンサント買収を目指す独バイエルを間接的に支援した格好だ。モンサントはBASFとの交渉をちらつかせることでバイエルに揺さぶりをかけることができなくなった。
BASFの2016年4-6月期(第2四半期)の営業利益(EBIT、特別要因を除く)は17億700万ユーロとなり、前年同期比で16%減少した。天然ガス販売・貯蔵事業の売却や基礎化学品の出荷価格下落が響いた格好で、純利益も14%減の10億9,200万ユーロへと落ち込んだ。
売上高は24%減の144億8,300万ユーロと大きく縮小した。減収24%の内訳をみると、事業整理が16%と最も大きく、出荷価格の低下も7%に上った。為替差損は3%。出荷量は売り上げを2%押し上げた。
EBIT(同)を部門別でみると、石油・天然ガスは事業売却と市場価格の下落を受けて78.2%減の9,400万ユーロへと激減。基礎化学品も14.8%減の4億6,700万ユーロと振るわなかった。食品・飼料産業向け製品や顔料を手がけるパフォーマンス製品は65.5%増の5億300万ユーロと好調で、機能性材料も自動車業界向けがけん引車となり16.8%増の5億3,500万ユーロへと拡大した。