欧州委員会のユンケル委員長は2日、辞任したジョナサン・ヒル委員の後任候補として英政府が指名したジュリアン・キング駐仏大使を新設ポストのセキュリティー担当委員に起用する意向を表明した。キング氏はEU加盟国と欧州議会の承認を経て正式就任する。
ヒル委員(金融安定・金融サービス担当)は6月、英国のEU離脱が国民投票で決まったことを受けて辞任した。欧州委員は加盟国から1人ずつ選ばれることから、英政府は7月、キング駐仏大使を新委員に指名していた。
キング氏はテロ、組織犯罪、サイバー犯罪対策などを担当する。ユンケル委員長が新ポストを用意し、ヒル委員の職務をそのまま引き継がせないことにしたのは、英国のEU離脱交渉で金融サービスが焦点のひとつとなることから、英国出身の委員が同分野を担当するのは望ましくないとの判断が働いたとみられる。また、ユンケル委員長はセキュリティー問題を担当してきたアブラモプロス委員(移民・内務担当)について、今後も同分野の政策決定の責任者となることを言明し、キング新委員はアブラモプロス委員の補佐役として政策執行を担当させる方針を示した。
金融安定・金融サービスは今後、ドムブロフスキス副委員長(ユーロ担当)とモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)が分担する。