ハルデックス争奪戦が過熱、2社が買収額引き上げ

独自動車部品大手のクノールブレムゼは16日、スウェーデン同業ハルデックスに対する株式公開買い付け(TOB)で、1株当たりの買い取り価格を従来の110クローナ(約11.5ユーロ)から125クローナに引き上げると発表した。ハルデックス買収で張り合う独ZFフリードリヒスハーフェンが14日、買い取り価格を100クローナから110クローナに引き上げたことに対抗した。ZFはクノールブレムゼの動きを受け、16日に買い取り価格を120クローナに引き上げたほか、これまで今月末としていたTOBの実施期限を10月3日に延長した。

ZFは8月上旬、ハルデックスを友好的なTOBで買収することで同社と合意した。ハルデックスに対しては当時、ルクセンブルクに本社を置く商用車部品大手のSAFホラントがTOBの意向を表明しており、ZFは白馬の騎士として対抗した格好だ。これを受けてSAFが買収を断念したことから、ZFのTOBは順調に進むとみられていた。

ところが、クノールブレムゼがハルデックス買収を今月上旬に打ち出したため、ZFは14日にTOB条件の変更。買い取り価格をクノールブレムゼと同じ110クローナに引き上げた。また、クノールブレムゼがハルデックス株をすでに8.4%確保したことを踏まえ、TOBの成立条件を「90%超の株式確保」から「50%超の株式確保」に引き下げた。さらに、自社保有分(4.18%)を含めハルデックスの資本21%以上を確保したことを明らかにした。

ZFはハルデックス買収に必要な独禁当局の承認をすべて得ており、TOBに応じたハルデックス株主への支払いを10月10日にも開始できるとしている。クノールブレムゼは今月26日頃にTOBを開始するが、事業の重複が多いハルデックスの買収を当局から承認されない可能性もある。ZFはこうした事情を踏まえ、認可のリスクがなく支払いも速やかに行える自社のTOBに応じることのメリットをハルデックス株主に訴えている。

ただ、ZFの買い取り価格はクノールブレムゼを5クローナ下回っており、ハルデックス株主がZFのTOBに応じるかは不明だ。これについて同社の広報担当者は「(クノールブレムゼの)新しい(TOB)提案は認知している。状況を慎重に検討したうえでじっくり結論を出した」と発言。総合的に判断すればZFの買収提案の方が株主にとって魅力的だとの見方を示唆した。

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