BASFの生産停止が長期化の見通し

化学大手のBASFはルートヴィヒスハーフェン本社工場の爆発事故を受けて、一部製品の生産を当面、見合わせなければならない状況だ。事故から2日経った現在も現場に立ち入れない状況が続いており、アナリストの間からは生産停止が年明け以降まで続くとの見方が出ている。

事故はルートヴィヒスハーフェン市北部のランデスハーフェン・ノルト港で17日11時30分頃に起きた。同港では可燃性の液体と圧縮ガスの積み替えが行われており、BASFの原料輸送で大きな役割を担っている。同社は事故を受け、ナフサから様々な化学原料を製造するスチームクラッカー2基など複数の生産施設で操業を停止した。

スチームクラッカーでは断熱材や溶剤の原料となるエチレンや、自動車塗料や接着剤の原料となるプロピレンが生産されている。広報担当者はメディアの問い合わせに、生産停止期間がどの程度になるかは現時点で不明だと回答した。どの製品の生産が中断しているかについては市場への影響と競合企業との競争を理由に明らかにしなかった。

川下メーカーでは特殊化学大手のエボニックが「サプライチェーンに影響が出ないかを調べる」と回答した。ランクセスとワッカー・ケミーは影響を受けないとしている。

BASFの生産停止で競合の米ダウ・ケミカル、蘭ライオンデルバセル、墺ボレアリスには特需が舞い込むとみられている。

今回の事故の被害は損害保険でカバーされるため、BASFが受ける財務上の痛手は比較的小さいもようだ。

上部へスクロール