化学大手の独BASFは19日夜、ルートヴィヒスハーフェン本社工場の爆発・火災事故で停止状態にある生産施設を近日中に再稼働させていくと発表した。アナリストの間からは生産停止が年明け以降まで続くとの見方も出ていたが、同社は緊急措置を施して操業を早急に再開する意向だ。
事故はルートヴィヒスハーフェン市北部のランデスハーフェン・ノルト港で17日11時30分頃に起きた。同港では可燃性の液体と圧縮ガスの積み替えが行われており、BASFの原料輸送で大きな役割を担っている。
事故でパイプラインが損傷したことから、生産施設に原料を供給できなくなり、ナフサから様々な化学原料を製造するスチームクラッカー2基で操業を停止。これを受け川下の生産施設も稼働停止に陥った。スチームクラッカーを含めて24の施設が生産停止に追い込まれた。
スチームクラッカーでは断熱材や溶剤の原料となるエチレンや、自動車塗料や接着剤の原料となるプロピレンが生産されている。このため自社の川下生産施設のほか、顧客企業への製品供給にも大きな支障が出る懸念が持たれていた。
だが、同社はライン川を挟んだ対岸にある生産施設から両スチームクラッカーにナフサを供給することを決定。数日以内に再稼働させる考えで、川下の生産施設も徐々に正常化させていく。
顧客企業への影響も可能な限り抑制する意向で、緊密に連絡を取り各製品の供給能力を伝えているという。