独バイオ企業サイトトゥールズは21日、主力医薬品「デルマプロ(Dermapro)」の治験をやり直すことを明らかにした。同薬の製造委託先企業の不手際が原因となり治験の最終段階で薬効を確認できなったため。最終治験を再度実施するためには資金を調達しなければならないことから、同社は現在、転換社債の発行や製薬会社との提携を模索している。
デルマプロはあらゆる創傷に効果のある治療薬で、これまで治療薬がなかった糖尿病足病変にも効果があるとされる。糖尿病足病変は糖尿病の合併症の1つで、足の神経が侵されたり、動脈硬化により血液の流れが悪くなることで、小さな傷が治らずに潰瘍化し、最悪の場合、壊疽化して足を切断しなければならなくなる。
治験の最終段階ではそれ以前の段階の治験と異なり、薬効が確認されなかった。同社が原因を調べたところ、治験に用いたデルマプロの成分濃度が本来の50%以下にとどまっていたことが分かった。
サイトトゥールズは市販製品を持たない小規模企業であり、治験用製品の製造を外部の2社に委託している。濃度が薄い製品を供給したのはこのうちの1社で、サイトトゥールズはこの企業を相手取って民事訴訟を起こした。