ドイツ連邦陸運局(KBA)が2日発表した10月の乗用車新車登録台数は前年同月比5.6%減の26万2,724台となり、3カ月ぶりに落ち込んだ。比較対象の2015年10月に比べ営業日数が2日少なかったことが影響。社用・公用車では減少幅が7.5%に達した。1〜10月の累計は前年同期比4.9%増の281万8,507台へと拡大した。
10月の新車登録台数を動力源別でみると、ディーゼル車のシェアは前月の44.6%から44.2%へと低下し、これまでに引き続き落ち込んだ。ディーゼル車をめぐっては欧州連合(EU)の環境基準を順守するために多くの都市で市内乗り入れ禁止が避けられなくなるとの議論が出ており、これが響いた格好だ。コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の関係者はロイター通信に、当局は市内部の大気汚染対策を取ることを義務づけられており、乗り入れ禁止論議は今後も続くと指摘。ディーゼル車の購入をためらう傾向はなくならないとの見方を示した。
新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は平均126.2グラムで、前年同月を0.1%下回った。
環境対応車では、ハイブリッド車が67.5%増の5,011台と大きく伸びた。購入助成金の対象となっているプラグインハイブリッド車は40.5%増の1,449台だった。一方、電気自動車は30.8%減の1,167台と振るわず、購入補助金は追い風となっていないもようだ。
新車登録が増えた部門はキャンピングカー(15.6%増)、SUV(14.7%増)、ユーティリティ(6.6%増)で、そのほかはすべて減少。大型車では減少幅が33.5%に達した。
ブランド別でみて伸び率が最も大きかったのはジャガーで、前年同月比116.4%増の712台を記録。これにアルファロメオ(79.2%増の380台)、レクサス(60.7%増の225台)が続いた。
ドイツ車はすべて減少した。VW(19.7%減の4万9,441台)とポルシェ(13.3%減の2,276台)は2ケタ台の後退で、フォードは8.0%減の1万8,864台、スマートは7.2%減の3,944台、ミニは6.4%減の3,211台、BMWは3.5%減の2万608台、アウディは2.9%減の2万3,292台、メルセデスは2.4%減の2万4,907台、オペルは0.1%減の1万9,582台だった。
レクサス以外の日本車ではトヨタ(12.3%増の6,177台)が2ケタ増となり、スバル(2.4%増の593台)とホンダ(2.2%増の1,921台)も前年同月を上回った。日産は0.1%減の5,718台、マツダは3.8%減の4,658台、スズキは4.6%減の2,198台、三菱は5.3%減の2,887台だった。
日本車以外の主な輸入ブランドはランドローバー(12.2%増の1,639台)、プジョー(11.7%増の5,119台)、DS(10.7%増の444台)、ボルボ(3.9%増の3,097台)、ルノー(3.4%増の9,994台)、セアト(2.8%増の8,068台)、シュコダ(2.6%増の1万4,171台)が増加。起亜(1.3%減の4,981台)、現代(1.6%減の8,939台)、シトロエン(5.9%減の3,603台)、フィアット(6.8%減の5,330台)ジープ(13.8%減の1,140台)、ダチア(20.1%減の3,020台)、テスラ(25.6%減の90台)は落ち込んだ。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した10月の国内乗用車生産台数は47万2,800台で、前年同月を11%下回った。同輸出台数は8%減の36万4,700台。1〜10月の累計は生産台数が前年同期比横ばいの485万1,500台、輸出台数が1%減の370万3,900台だった。