ディーゼル車排ガス不正に関する情報の公開を自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が不当に遅らせたとされる問題で、独ブラウンシュヴァイク検察当局が同社のハンスディーター・ペッチュ監査役会長を捜査対象に加えたことが6日、VWの発表で明らかになった。同問題ではすでにマルティン・ヴィンターコルン前社長とヘルベルト・ディース取締役(VWブランド乗用車担当)が容疑を持たれており、捜査対象は3人に増えたことになる。
VWの排ガス不正問題は昨年9月18日、米環境保護庁(EPA)の発表で明らかになった。これを受け、同社の株価は急落。株主は大きな損失を被った。
VWに対しては同不正問題を知りながら公表しなかった疑いが持たれている。ドイツの上場企業は株価の大幅変動をもたらす重大情報の速やかな公表を有価証券法で義務づけられており、同社はこれに違反した可能性がある。
ペッチュ会長は2003年9月から15年10月までVWの財務担当取締役を務めていた。このため、排ガス不正の事実を発覚以前に知っていた疑いが持たれている。
VWはプレスリリースで「VW取締役会は資本市場法上の開示義務を順守していたとの見解を、わが社は社内・社外の法律家の慎重な調査に基づき引き続き堅持する」との声明を出した。