エネルギー大手エーオンがコスト削減計画発表

エネルギー大手の独エーオンは9日の決算発表でコスト削減計画「プロジェクト・フェニックス」を発表した。在来型発電子会社ユニパーの分離・上場や原発廃止に伴うコストが業績を強く圧迫しているため。年4億ユーロのコスト圧縮を目指す。

2016年1-9月期の純損益は92億9,900万ユーロの赤字となり、赤字幅は前年同期の56億7,000万ユーロから大幅に膨らんだ。7-9月期(第3四半期)にユニパーで評価損61億ユーロを計上したことが響いた。同子会社では4-6月期(第2四半期)にも評価損38億ユーロを計上。分離手続きを開始してからの累積の評価損は230億ユーロに達した。

ユニパーは9月、フランクフルト市場で新規株式公開(IPO)を実施した。この時点で時価総額が簿価を大幅に下回っていたことから、エーオンが7-9月期に巨額評価損を計上することは予想されていた。

1-9月期の巨額赤字を受けて9月末時点の自己資本は昨年末の164億ユーロから4億3,300万ユーロへと激減した。今後さらに、放射性廃棄物の中間・最終保管のために設置される国営基金に拠出金を払い込むほか、廃炉引当金の積み増しも行うことから、10-12月期(第4四半期)には自己資本がマイナスに落ち込むと同社は予想している。

エーオンの1-9月期の売上高は281億9,800万ユーロで、前年同期を12%下回った。営業利益(EBIT、調整済み)は4%減の23億1,100万ユーロ。ユニパーを除いたエーオン本体の営業利益(同)は13%増の19億ユーロと好調だった。

エーオンの株主帰属の純損益は39億4,800万ユーロの赤字だった。ユニパーに対する出資比率が同子会社のIPOで46.65%まで低下したことから、出資先企業の他の株主に帰属する利益・損失を含む純損失(92億9,900万ユーロ)に比べ赤字幅が小さくなった。

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