欧州委がハンガリー広告税を違法認定、累進税率や税控除を問題視

欧州委員会は4日、ハンガリーで2014年に導入された広告税がEUの国家補助規定に違反するとの調査結果をまとめ、同国政府に是正を命じた。広告収入に応じた累進課税システムなど、一部の運用ルールが特定の企業に対する差別的扱いや不公平な優遇措置にあたると指摘し、過度に恩恵を受けた企業から徴収不足税額を回収するよう求めている。

広告税は第3次オルバン政権が発足した直後の14年6月、特定の業界に対する特別税の一環として導入された。放送事業者、新聞社、雑誌出版社、ニュースサイト運営会社、屋外広告事業者などを対象に、前年の広告収入に応じて課税するという内容で、税率は当初、0%~40%まで5段階に設定されていた。しかし、ルクセンブルクに本社を置く大手メディアグループRTLの子会社でハンガリー民放最大手のRTL Klubに最高税率を課す一方、政府与党に近いとされる同2位のTV2に関しては、13年の通期決算が赤字だったことを理由に税控除が適用されたため、内外の報道機関などから独立系外資メディアのRTLを狙い撃ちしたもの、といった批判の声が上がった。

こうしたなか、欧州委はRTLからの申し立てを受けて15年3月に本格調査を開始。その際、累進税率や税控除の措置が特定の企業を優遇する結果になっており、実質的な補助金に当たる可能性があるとして、調査終了まで広告税の適用を一時停止するよう命じた。しかし、ハンガリー政府は税率を0%~5.3%に改めたうえで、昨年7月から広告税を再導入していた。

欧州委はこれまでの調査から、税率を修正することで企業による税負担の差が縮まった点を評価したうえで、依然として累進税率と赤字を計上した企業に対する税控除が維持されている点を問題視。ハンガリー政府はこうした措置を正当化できていないうえ、税率の修正について欧州委に報告しないまま広告税を再導入したと指摘した。欧州委は声明で「課税制度はハンガリー政府に決定権があるものの、EUルールに反して特定の企業を優遇する内容であってはならない」と強調。適正な方法で本来の課税額を算出し、速やかに回収するよう求めている。

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