MMF規制案、欧州議会とEU議長国が一部修正で基本合意

欧州議会とEU議長国スロバキアは14日、「影の銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれる銀行を介さない金融取引に対する規制強化の一環として、短期金融資産に特化して運用を行う投資信託のマネー・マーケット・ファンド(MMF)に関する規制案の内容で基本合意した。規制案の文言に技術的な修正を加えたうえで、欧州議会本会議と閣僚理事会で採決を行う。

MMFは広く浸透した金融商品で、銀行預金に近い。世界各地で発行される短期債の大部分を保有し、銀行や政府の短期資金の調達先にもなっている。欧州委員会によると、MMFは欧州の政府や企業が発行した短期債の約20%、銀行が発行した短期債の約40%を保有している。MMFの多くは1口当たりの基準価額(NAV)が原則として一定水準に保たれるとしているため、投資家はほとんどリスクを負わず、いつでも換金することができる。

欧州委員会は2013年9月、世界経済の混乱などでMMFの解約が広がった場合に備え、MMFの安定性を確保するための規制案を発表。EU市場で組成・販売されるMMFに対し、その日に満期を迎える資産が全体の10%以上、その週に満期を迎える資産が全体の20%以上になるよう求めたほか、元本割れを防ぐため、総資産の3%を常に準備するよう義務付けることを提案した。

欧州委はこのほか、1口当たりNAVを固定した「安定的NAV(CNAV)」を新ルール導入後、2年以内に廃止することを提案していたが、欧州議会とEU議長国の協議では、政府債MMFについては引き続き維持することで合意した。また、新たに導入される価格変動性が低い「低ボラティリティNAV(LVNAV)」に関しては、サンセット条項(定期的な見直し期間)を廃止し、新ルール導入から5年後に見直しを行うことで一致した。

上部へスクロール