フォルクスワーゲン(VW)のVWブランド乗用車部門は米国市場に今後、ディーゼル車を新規投入しない考えだ。同部門担当のヘルベルト・ディーツ取締役が『ハンデルスブラット』紙に明らかにしたもので、窒素酸化物(NOx)の排出基準が欧州よりも厳しいことを理由に挙げている。同部門は排ガス不正問題の発覚後、米国でディーゼル車の販売を見合わせていることから、今後はガソリン車と電気駆動車で拡販を目指すことになる。
VWのマルティン・ヴィンターコルン前社長は米国販売を増やすために、同社が得意とするディーゼル車の投入方針を打ち出した。だが、VW車は当時、米国のNOx排出基準を満たしておらず、同社長の方針と米排出基準の板挟みになったVWの技術者は違法なソフトウエアを用いて排ガス値を操作。これが昨年9月に発覚し、大きなスキャンダルとなった。この問題に絡んでVWにはこれまでに162億ドルの巨額コストが発生している。
米国市場の開拓に向けては大型SUVとセダンを投入する計画で、まずは北米市場専用のSUV「アトラス」を発売する。