半導体製造装置の有力メーカーである独アイクストロンは18日、中国の投資会社・福建芯片投資基金(FGC)が同社を買収する計画に対し米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障上の懸念を示したことを明らかにした。CFIUSはオバマ大統領に同計画を承認しないよう勧告しており、大統領がこれに従えば計画はとん挫する見通しだ。
アイクストロンは昨年末、中国の半導体大手・三安光電から大規模なキャンセルを受けて経営が大幅に悪化。今年5月にFGCへの身売りを決めた。
FGCは独子会社グランド・チップ・インベストメント(GCI)を通した株式公開買い付け(TOB)でアイクストロンを買収する計画で、すでに同株およそ78%を確保した。
同計画に対しては独経済省が9月に無条件で承認したにもかかわらず、10月下旬になって取り消しと再審査を通告した経緯がある。独政府はアイクストロン製の半導体製造装置で軍事利用が可能な半導体を製造できるとの情報を米情報機関から入手したため承認を撤回した。
中国企業による独企業の買収であるにもかかわらず米当局が審査を行うのは、アイクストロンが米カリフォルニア州サニーベールに研究開発拠点を持っているためだ。メディア報道によると、CFIUSは同社の競合である米企業ビーコに肩入れして同買収計画に懸念を表明したとの見方もある。