欧州委が防衛行動計画を発表、50億ユーロの基金創設など

欧州委員会は11月30日、EU加盟国が兵器や機材を共同調達するための年50億ユーロ規模の基金創設を柱とする防衛行動計画を発表した。欧州の防衛に対するトランプ次期米大統領の姿勢が不透明なうえ、英国のEU離脱による防衛政策への影響が懸念されるなか、EU加盟国が自らの資金で効率的に防衛協力を進める方針を示した形だ。

計画によると、防衛基金は小型無人機「ドローン」などの開発投資や、新型ヘリコプターや戦車などを加盟国が共同調達する資金として活用する。これとは別に、加盟国が防衛技術の研究・開発を共同で進めるため、2017年~19年はEU予算から年2,500万ユーロの拠出を確保したうえで、20年以降はこれを年5億ユーロに拡大。現在は各国が個別に行っているロボット兵器やハイテク兵器などの開発で重複を省き、効率的に共同開発を推進する。さらに、欧州投資銀行(EIB)に軍事研究への投資を促す。

欧州委のユンケル委員長は声明で「欧州が自身の安全保障に責任をもたなければならない」と述べ、防衛協力を強化する必要性を強調。カタイネン副委員長(雇用・成長・投資・競争力担当)は「われわれは急速に拡大する脅威にさらされており、自ら行動する必要がある」と指摘した。加盟国は今月15、16日に開くEU首脳会議で防衛計画について検討する。

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