中国資本のアイクストロン買収、米大統領が拒否権発動

米国のオバマ大統領は2日、半導体製造装置メーカーの独アイクストロンを中国の福建芯片投資基金(FGC)が買収する計画に拒否権を発動した。対米外国投資委員会(CFIUS)の勧告を受けた措置で、アイクストロンの米国事業をFGCが取得することを禁止した格好だ。アイクストロンは3日付プレスリリースでFGCによる同社株の取得自体は拒否権の対象になっていないとの見解を表明。FGCによる買収の余地は残されているとの認識を示唆した。ただ、同買収計画には独経済省が9月に無条件で承認したにもかかわらず、10月下旬になって取り消しと再審査を通告しており、同省が拒否権を行使すれば買収もできなくなる見通しだ。

アイクストロンは昨年末、中国の半導体大手・三安光電から大規模なキャンセルを受けて経営が大幅に悪化。今年5月にFGCへの身売りを決めた。FGCは独子会社グランド・チップ・インベストメント(GCI)を通した株式公開買い付け(TOB)でアイクストロンを買収する計画で、すでに同株およそ78%を確保した。

FGCには中国の廈門市が間接的に49%出資していることが分かっており、アイクストロン買収計画の背景には買収を通した最先端技術の取得により産業の高度化を目指す中国政府の政策があるとみられている。

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