特殊化学大手の独エボニックが米JMフーバーからシリカ事業を買収する見通しだ。ロイター通信が9日、報じたもので、広報担当者は監査役会の買収承認をまだ得ていないとしながらも、交渉を行った事実を認めた。
同通信によると、買収金額は約6億3,000万ドル。企業価値(EV)が減価償却前営業利益(EBITDA)の何倍になっているかを示すEV/EBITDA倍率は約7倍という。
フーバーのシリコン事業は米本国のほか、インド市場にも強く、エボニックは買収によりアジア事業を拡大できる。また、歯磨き粉に用いる研磨剤用シリカ事業も大幅に強化できる。
エボニックは飼料添加剤事業への依存度が高い。最近は飼料添加剤の価格下落や中国市場低迷の直撃を受けていることから、事業の多角化を推進して景気変動の影響を緩和できる体制を構築する考えだ。5月には米エアー・プロダクツの特殊添加剤事業を38億ドルで買収する計画を明らかにした。