ユーロ圏財務相会合、ギリシャの債務軽減策で合意

EUは5日のユーロ圏財務相会合で、ギリシャの債務を短期的に軽減することで合意した。ただ、国際通貨基金(IMF)が第3次の対ギリシャ金融支援に加わる条件として求めている軽減策とは、元本削減を認めないなど大きな開きがあり、IMFによる年内の支援参加は絶望的となった。

IMFはギリシャに対する第1、2次の国際金融支援には参加したが、総額860億ユーロに上る3次支援への参加は見送っている。ギリシャの債務問題を根本的に解消するために必要と主張する債務の減免、財政再建計画をめぐり、ユーロ圏と対立しているためだ。

ユーロ圏の財務相会合では、一部の債務の返済期限延長、2017年に上昇する予定となっている融資金利の固定化で合意。金融支援の実行機関であるユーロ圏の欧州安定メカニズム(ESM)が数週間以内に実施することを決めた。これによって国内総生産(GDP)比180%近くに上るギリシャの累積債務を2060年までに20%ポイント圧縮する効果があると見込んでいる。長期的な債務軽減策は、18年以降に検討する。

しかし、この軽減策にはIMFが求める元本削減は盛り込まれなかった。来年に総選挙を控えるドイツが、ギリシャの放漫財政のつけを独などユーロ圏の公的資金で賄うことに批判的な世論に配慮し、大幅な債務減免に抵抗していることが背景にある。

IMFは第3次支援参加の条件として債務の減免のほか、ギリシャによる労働市場改革など財政再建策の強化を要求しているが、今回の財務相理事会では合意できなかった。IMFが利払いを除く基礎的財政収支を18年までにGDP比3.5%の黒字にするという目標を「非現実的」とし、同1.5%に緩める必要があると主張していることに関しても、要求に応じなかった。また、第3次支援が終了する18年以降もどれだけの期間、同水準の黒字化を義務付けるかについても、3~10年と意見が大きく分かれ、合意を見送った。

さらにIMFは、ユーロ圏がギリシャの財政再建の進展状況に関する第2次審査を完了させることも支援参加の条件としている。しかし、今回の会合では、さらなる検討が必要として完了に至らなかった。IMFは同審査が完了するまで、支援参加に関する協議には応じないとしており、ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は「IMFの年内の支援参加は不可能になった」と述べた。

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