工業ガス大手の独リンデと米プラクスエアは20日、合併の枠組み条件で合意したと発表した。両社は合併交渉を行ったものの、合併後の新会社でリンデ側の影響力が弱まる懸念が出たことから9月に破談。プラクスエアがその後、合併交渉の再開を打診し、今月7日に再開が決定した。
破談となった前回の交渉では、合併で成立する新会社の本社・開発拠点の所在地や役員人事をめぐり意見がまとまらず、破談となった。メディア報道によると、プラクスエアは新会社の統括権限を米コネチカット州ダンベリーにある自社の本社に一元化する考えを提示。ミュンヘンにあるリンデ本社の権限を大幅に縮小するほか、リンデの独拠点の統廃合を要求したため、リンデ監査役会の労働側役員が反発し、交渉が打ち切られた。
今回の枠組み合意ではこれを踏まえ、◇新会社の本社を欧州経済領域(EEA)の中立国(ドイツ以外)に置いたうえで本社機能をミュンヘンとダンベリーに適切に割り振る◇新会社が「リンデ」の社名を持つようにする◇新会社に両社の株主がそれぞれ50%を出資する対等合併とする◇新会社の株式を米ニューヨーク証券取引所と独フランクフルト証券取引所に上場する◇新会社の取締役会を両社同数の役員で構成する◇新会社の最高経営責任者(CEO)にプラクスエアのスティーブ・エンジェル会長兼CEO、会長にリンデのヴォルフガング・ライツレ監査役会長がそれぞれ就任する――などを取り決めた。
合併により年10億ドル(9億ユーロ)のシナジー効果が生まれると見込んでいる。