フェイスブックも共同決定権の対象か

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は業務の多くの事柄に関して共同決定権(Mitbestimmungsrechte)を持つ。では、企業がフェイスブックなどのSNSに自社のページを開設・運営することも共同決定権の対象となり、雇用主は単独で決定できないのだろうか。この問題をめぐる係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が13日の決定(訴訟番号:1 ABR 7/15)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判はドイツ赤十字献血サービス西部公益会社を相手取って事業所委員会が起こしたもの。同社は2013年4月、マーケティング活動の一環でフェイスブックに自社のページを開設した。同ページでは訪問者が投稿メッセージ(ポスティング)を書き込めるように設定されていた。

訪問者のなかには同社職員の振る舞いや仕事ぶりについてのコメントを書き込む者があったため、事業所委員会は、ポスティング機能付きのページを開設したことで雇用主は従業員を監視できるようになったと指摘。またそれとは別に、従業員の振る舞い・仕事ぶりに関する訪問者の投稿メッセージが公開されることで、極めて大きな監視圧力が生み出されているとして、同ページの開設と運営を全面的に共同決定権の対象とすることを要求。提訴した。

最高裁のBAGは13日の決定で、原告事業所委の部分勝訴を言い渡した。決定理由で裁判官は、「被用者の振る舞いや仕事ぶりを監視するための技術的な設備の導入と利用」は共同決定権の対象になるとした事業所体制法(BetrVG)87条1項6の規定を指摘。訪問者のメッセージを公開するポスティング機能を事業所委の同意なしに利用することは同規定に抵触するとの判断を示した。

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