ドイツ銀が米司法省と和解、72億ドル支払いへ

独最大手銀行のドイツ銀行は12月23日、米国での住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売問題をめぐり、米司法省に和解金72億ドルを支払うことで基本合意したと発表した。交渉開始の時点では140億ドルの支払いを提示されており、ほぼ半額に引き下げられたことになる。法務リスクが最大の経営圧迫要因となっている同行は今回の合意により大きな山をひとつ越えた格好だ。

72億ドルのうち31億ドルは民事制裁金で、残り41億ドルは米国の不動産バブル崩壊で痛手を受けた消費者の救済に当てる。

同民事制裁金は2016年10-12月期(第4四半期)決算で計上する。これに伴い同期の税引き前利益は約11億7,000万ドル圧迫される見通し。ドイツ銀は16年1-9月期税引き前利益で16億600万ユーロを計上していることから、10-12月期の同損益が大幅な赤字にならなければ12月通期に黒字を計上できる計算だ。

消費者救済向けの41億ドルは5年以上の時間をかけて計上していく。同支払いが財務に及ぼす影響は最終合意で取り決める条件に左右されることから、現時点では未定。16年12月期決算には影響が出ないと同行はみている。

ドイツ銀は過去の不正行為が数多く発覚し、財務が圧迫されている。このため米司法省との交渉で仮に140億ドルの支払いを余儀なくされると、巨額増資や大規模な事業売却が避けられず、公的救済の可能性も指摘されていた。今回の和解金は比較的小さかったことから、こうした懸念はひとまず遠のいたことになる。

ただ、同行はロシアでのマネーロンダリングほう助疑惑やイラン制裁抵触の可能性などさらなる懸案を抱えており、法務リスク問題の終焉は見えていない状況だ。

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