欧州委員会は10日、仏政府が経営難に陥っている国営原子力企業アレバを救済する計画を承認したと発表した。これを受けてアレバに45億ユーロの公的資金を注入することが可能となる。
アレバは世界的な原子力企業として順調に事業を展開してきた。しかし、福島第1原発の事故で脱原発の動きが広がり、受注が落ち込んだことや、フィンランドで建設している次世代の加圧水型炉(欧州加圧水型原子炉=EPR)の技術トラブルなどで経営が急速に悪化。赤字が膨らみ、存続の危機に直面している。
このため、同社に87%を出資する仏政府は、原子炉部門をフランス電力公社(EDF)に売却する合理化を2015年に決定。中核の原子炉事業から徹底し、核燃料事業などに集中することになるアレバを支援するため、45億ユーロを注入する方針を打ち出していた。
同支援の承認は◇欧州委が原子炉部門売却を認可する◇EDFが仏ノルマンディー地方のフラマンヴィルに建設する次世代の原子力発電所にアレバが供給する原子炉が仏原子力安全局(ASN)から承認される――ことが条件で、すぐに公的資金を注入することはできない。このため仏政府は33億ユーロのつなぎ融資を実施することになっており、これも同日に欧州委から承認された。