フリーランサー(個人事業主)として働く人であっても、業務委託者の指示に基づいて仕事をするとともに、同委託者の労働組織に組み込まれている場合は被用者とみなされる。これは社会法典第4編(SGBⅣ)7条に記されたルールであり、当該フリーランサーは社会保険への加入が義務付けられる。つまり業務の指示を行う事業者は雇用主として同フリーランサーの社会保険料を負担しなければならない。このルールをめぐる係争でヘッセン州社会裁判所が昨年12月に決定(訴訟番号:L 1 KR 57/16)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は業務用ロールタオルなどを飲食店に提供するサービス会社を相手取って公的年金機関が起こしたもの。
同社の委託で2003年からロールタオルなどの取付、配達、交換、修理を週に4日、行ってきた64歳の女性は2011年、SGBⅣ7条などを根拠に社会保険へと加入義務があることの確認を同年金機関に要請。同機関は同サービス会社がこの女性に◇仕事の指示を与えている◇仕事のコントロールを行っている◇仕事で必要とする物資を提供している◇制服着用を義務付けている◇女性のマイカーが同社の指示に基づく色に塗られているうえ、同社のロゴも付けられている――を根拠に社会保険への加入義務があることを認定。同社に社会保険料の雇用者負担分を支払うよう命じた。
これに対し同社は、この女性はマイカーを使って仕事をしていおり、独立して仕事を行う事業者だと反論。同女性の社会保険料を負担することを拒否したため、同年金機関が提訴した。
ヘッセン州労働裁判所はこの係争で、原告の訴えを全面的に認める決定を下した。同女性がマイカーを利用していることを根拠に独立した事業者だとする被告企業の主張に関して裁判官は、同女性がマイカーの利用を通して、被告の業務委託で得る以上の利益を上げることはできないと指摘。同女性は独立した事業者でなく被告の被用者だとの判断を示した。
抗告は認めなかった。