HSBCが英事業縮小、EU単一市場撤退で

英国のメイ首相がEU単一市場からの離脱を表明したことを受けて、金融機関が英事業の縮小を図る動きが活発化してきた。金融大手の英HSBCホールディングスは18日、ロンドンの拠点から1,000人を仏パリに移す意向を表明。独ハンデルスブラット紙は同日、米ゴールドマン・サックスが英の従業員を減らし、ドイツなどに移動させると報じた。

HSBCのスチュアート・ガリバー会長は、世界経済フォーラムの年次総会が開かれているスイスのダボスで、ロイター通信の取材に応じ、英のEU離脱で影響を受ける英部門の従業員1,000人をパリの拠点に異動させる計画であることを明らかにした。EUの「パスポート制度」を利用できなくなることで業務に支障が出る投資銀行部門の従業員が対象とみられる。EU離脱から2年後を目途に実施する方針という。

ハンデルスブラットによると、ゴールドマン・サックスもロンドンの従業員のうち約1,000人をフランクフルトなどに移す計画。これによってロンドンの従業員は3,000人に縮小する。

金融、保険、証券会社を対象とするパスポート制度は、EU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で自由に活動することができるという仕組み。英国がEU単一市場から撤退することで、同国の企業や英の拠点を通じて域内で事業展開する海外企業は同制度を利用できなくなる可能性が高い。

このため、英国から金融会社が脱出する動きが加速するのは必至の情勢。スイス金融大手UBSのアクセル・ウェーバー会長は18日、英BBCに対して、英の従業員のうち約1,000人がパスポート制に基づく事業に関わっているとして、これらの要員の異動を検討していることを示唆した。

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