携帯ローミングのホールセール料規制、EU3機関が合意

欧州議会、EU加盟国と欧州委員会は1日、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際に発生する国際ローミング料について、事業者が他社の回線を使用するために支払うホールセール料金に上限を設ける規制案の内容で合意した。欧州議会本会議とEU閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。

EUでは2017年6月15日付で国際ローミング料が廃止されることになっており、EU市民は域内のどこに移動しても、自国と同じ料金水準で通話やデータ通信などのサービスを利用できるようになる。ただ、ホールセール段階の料金を据え置いたままローミング課金を撤廃した場合、事業者の収益が圧迫されるため、損失を補てんするため国内料金を引き上げたり、廃業に追い込まれるケースも予想される。このため欧州委員会は昨年6月、国際ローミングのホールセール料金に上限を設ける規制案を打ち出し、欧州議会と加盟国の間で検討が進められていた。

国際ローミングのホールセール料金は現在、音声通話が1分当たり平均0.05ユーロ、テキストメッセージが1件当たり0.02ユーロ、データ通信は1メガバイト当たり0.05ユーロとなっている。欧州委は今年6月以降、通話時のローミング料金を1分当たり最大0.04ユーロに制限するほか、テキストメッセージは1件当たり0.01ユーロ、データ通信は1メガバイト当たり0.0085ユーロ(1ギガバイト当たり8.5ユーロ)以下に抑えるよう事業者に義務付ける案を提示していた。

欧州議会、加盟国、欧州委は最終的に、ホールセール料金の上限を音声通話は1分当たり0.032ユーロ、テキストメッセージは1件当たり0.01ユーロとすることで合意。データ通信に関しては、6月15日時点の上限を1Gバイト当たり7.7ユーロに設定し、18年1月に6ユーロ、19年1月に4.5ユーロ、20年1月に3.5ユーロ、21年1月に3ユーロと段階的に引き下げて、22年1月には最大2.5ユーロに制限することで合意が成立した。

欧州委のアンシプ副委員長(デジタル単一市場担当)は「ローミング廃止に向けてパズルの最後のピースが埋まった。EU市民は6月15日以降、ローミング料金なしで域内を旅行できるようになる」と強調した。

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