2017/2/13

EU情報

EUとIMF、ギリシャ支援めぐる溝深まる

この記事の要約

債務危機に直面するギリシャへの金融支援をめぐるEUと国際通貨基金(IMF)の溝が深まっている。EUは対ギリシャ3次支援へのIMFの参加を求めているが、IMFは7日に発表した報告書でギリシャの経済、財政について悲観的な見方 […]

債務危機に直面するギリシャへの金融支援をめぐるEUと国際通貨基金(IMF)の溝が深まっている。EUは対ギリシャ3次支援へのIMFの参加を求めているが、IMFは7日に発表した報告書でギリシャの経済、財政について悲観的な見方を示し、支援参加に必要な環境が整っていないとする立場を確認。EU側の反発を招いた。

IMFはギリシャに対する第1、2次の国際金融支援には参加したが、2015年に決まった総額860億ユーロに上る3次支援への参加は見送っている。EUの指示でギリシャが進める厳しい緊縮策を柱とした財政再建計画は非現実的で持続できないとして、EUの債務の減免などを求めているためだ。これをめぐって対立するEU側では、IMFが債務問題に口だけ出してカネは出さない状況が続いていることへの不満が募っている。

IMFは報告書で、ギリシャの財政再建計画が楽観的な成長見通しに基づいていると批判。基礎的財政収支を18年までにGDP比3.5%の黒字にするという目標は達成不可能で、同1.5%が現実的な水準だと指摘した。さらに、EUが求める財政緊縮策も厳しすぎ、このままではギリシャが債務問題に持ちこたえられなくなって「爆発する」と警告した。IMFが金融支援に参加するための条件を依然として満たしていないと宣言した格好だ。

これに対してユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は7日、オランダのテレビ局とのインタビューで、ギリシャが4四半期連続でプラス成長となり、失業率が改善するなど景気回復が進んでいると反論。IMFの評価は「古い」認識に基づくもので、正当に審査していないと批判した。欧州委員会の報道官も同日、ギリシャの財政再建策は「信用できる」と述べた。

当事者のギリシャもIMFに反発している。ツァカロトス財務相は同日、IMFが成長見通しについて悲観的な見解を示した点に関して、ギリシャ経済に関する最新のデータ、分析に反した「あまりにも悲観的な想定に基づいている」と述べ、強い不満を示した。

ユーロ参加国は昨年12月、ギリシャの債務を短期的に軽減することで合意したが、IMFが求める元本削減を含む大規模な減免措置とは大きな開きがある。ギリシャ支援に世論が批判的なドイツなどが、同措置に反対していることが背景にある。

また、ギリシャをめぐっては、IMFの支援再開の目途が立たないことに加えて、財政再建の進展状況に関するユーロ圏の第2次審査が難航しているという問題もある。7月に約70億ユーロの債務を返済する必要があるが、審査が完了しなければ新たな融資が実施されず、返済に必要な資金を確保することができない。ドイツとフランス、オランダが国政選挙を控え、2次審査完了に向けた協議を行う時間が少なくなる中、ギリシャ危機の再燃が懸念されており、7日にはギリシャ国債の売り圧力が強まり、短期国債の流通利回りは昨年9月以来の高水準に達した。

こうした中、EUとIMFなど債権者側とギリシャは10日に会合を開き、金融支援問題について協議した。追加融資の実施に必要となる財政改革の進め方をめぐる双方の対立を解消するのが目的。出席したデイセルブルム議長は会合後に発表した声明で「かなりの進展があった」と述べたが、決着には至らなかった。

協議の詳細は不明だが、ロイター通信によると債権者側はギリシャに対して、年金削減などによって国内総生産(GDP)比1%に相当する18億ユーロの財政強化を18年までに実施するよう要請したもようだ。

EUは20日にユーロ圏財務相会合を開き、同問題を改めて協議する。デイセルブルム議長は双方が2次審査の早期完了を目指すことを確認したこと明らかにし、次回の会合で「審査の更なる進展を検証する」と述べた。