ドイツ取引所社長にインサイダー取引の容疑

フランクフルト検察当局は1日、フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所の本社で立ち入り捜査を実施した。同社のカルステン・ケンゲーター社長にインサイダー取引の容疑が持たれているためで、同社長の自宅も捜査の対象となった。同社が計画するロンドン証券取引所との合併計画には今のところ影響が出ていない。

ケンゲーター社長は2015年12月14日、監査役会が決定した取締役報酬プログラムを利用してドイツ取引所の株式450万ユーロ分を自らの資金で購入した。同社は翌16年2月23日にロンドン証券取引所と合併協議を行っていると発表。これを受けて両社の株価が大幅に上昇したことから、株価に重要な影響を与える重要事実を事前に知って株式を売買するインサイダー取引の疑いが持たれている。

ケンゲーター社長は15年4月、ドイツ取引所の取締役に就任し、同6月に社長に昇格した。監査役会は同社長を長期的につなぎ止める目的で同報酬プログラムを決定しており、ケンゲーター社長は購入した同社株を19年末まで売却できないことになっている。

検察はドイツ取引所とロンドン証取が15年7~8月の時点で合併の可能性について話し合いを行っていたと判断。同12月時点で未公開だった合併協議に関する情報に基づいてケンゲーター社長がドイツ取引所株を取得したとみている。

これに対し同社のヨアヒム・ファーバー監査役会長は、ケンゲーター社長の株式取得は両社の合併協議が具体化する1カ月前だったとして、インサイダー取引には当たらないと主張している。

上部へスクロール