アマゾンが電子書籍販売めぐり改善策提示、出版社との契約から反競争的条項を排除

欧州委員会は24日、米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムの電子書籍販売事業をめぐり、EU競争法に基づく調査を進めている問題で、アマゾンが提示した出版社との契約内容に関する改善策について、利害関係者からの意見募集を開始した。今後1カ月にわたる「市場テスト」の結果を踏まえ、アマゾンの提案を法的拘束力のある公約として受け入れて、同社に対する調査を打ち切るかどうか判断する。

欧州委はアマゾンが欧州電子書籍市場での独占的な地位を乱用し、出版社との契約に競争制限的な条項を盛り込んだ可能性があるとして、2015年6月に本格調査を開始した。問題となっているのは、契約している出版社に対して◇他の電子書籍販売会社がアマゾンより有利な条件を提示した場合はアマゾンに知らせる◇アマゾンに競合相手と同等以上の条件を適用する――ことを認めさせる条項。欧州委はアマゾンが市場支配的地位を乱用してライバル会社が革新的な製品やサービスを展開するのを妨げ、消費者の選択肢を狭めているとの疑いを強めていた。

欧州委によると、アマゾンは電子書籍販売をめぐって出版社と結ぶ契約から、欧州委が問題視している条項を排除することを確約。また、アマゾンと競合するプラットフォームで電子書籍を販売する際、小売価格の値引きを強要する内容の条項を含んだ契約を出版社が破棄できるようにすることも改善策に盛り込んだ。

欧州委がアマゾンの提案を受け入れた場合、同社は欧州経済領域(EEA)で向こう5年間にわたって確約を順守しなければならず、この間、アマゾンが指名する管理者(trustee)が履行状況を監視する。

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