対メキシコFTAの改定交渉を加速、米国の保護主義に対抗

欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、EU・メキシコ間の自由貿易協定(FTA)の改定交渉を4月と6月に行うと発表した。トランプ米大統領が掲げる保護主義的な政策が世界に波及する事態が懸念されるなか、経済面の連携強化を図るため、2000年に発効したメキシコとのFTAを深化させる取り組みを加速させる。

交渉日程は欧州委のマルムストロム委員(通商担当)とメキシコのグアハルド経済相の電話会談で決定した。両氏は2回の交渉の間にメキシコシティで会合を開き、協議の進捗状況や直面する課題について意見交換することでも合意した。両氏は共同声明で「双方の通商関係を深化させることで経済成長を促し、企業の国際競争力を強化して、消費者の選択肢を広げることができる。世界的な保護主義の台頭という憂慮すべき事態に直面し、同じ考えを持つパートナーとして、よりグローバルで開かれた協力関係に向けて立ち上がらなければならない」と強調した。

メキシコはEUが中南米諸国と最初に締結したFTAの相手国。すでにメキシコからEUに輸出されるすべての工業品の関税が撤廃される一方、EUの工業製品に対する関税も協定発効以前の最高35%から5%に引き下げられ、EU・メキシコ間の貿易額はFTA発効後の15年間で約3倍に拡大した。しかし、この間に経済のグローバル化が進み、世界の貿易構造も大きく変化していることから、双方は現行の協定を深化させ、より一段の市場開放を実現して貿易と投資の拡大を図る必要があるとの認識で一致。昨年6月から公共調達など新たな項目を協定に盛り込む方向で協議を進めている。

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