欧州委員会は8日、EUが中国製太陽光パネルに発動している反ダンピング措置について、18カ月の延長を提案すると発表した。当初は2年延長する予定だったが、加盟国が反対したことから、期間を短縮して合意を取り付けたい考えだ。
EUは中国製の太陽光パネルに対する反ダンピング措置の発動を2013年に開始。中国メーカーがEUへの輸出に最低価格と上限を設け、価格を引き上げる代わりに反ダンピング措置を中止するという和解案で中国政府と合意したが、同合意に従わないメーカーには税率が最大64.9%の反ダンピング関税を課すことになった。
欧州委は同措置の適用が15年12月に期限を迎えたことから、2年の延長を加盟国に提案した。しかし、1月下旬に実施された採決で、過半数の国が反対に回ったことから、対応を迫られていた。
EU域内では太陽光パネルメーカーがダンピング措置の継続を求めている一方で、中国製パネルを輸入して利用する事業者は値上がりに悲鳴を挙げている。加盟国の間では、既に鉄鋼製品などをめぐって激化している中国との通商紛争が、同措置の延長によって一段と加熱し、中国政府が報復措置に踏み切ることを恐れる動きもある。米トランプ政権が保護主義に傾く中、EUが中国との通商関係を強化する必要も出てきた。
欧州委はこうした問題を総合的に検討した結果、妥協策として延長期間を短縮することを決めた。ティメルマンス副委員長は記者会見で、18カ月の延長期間が過ぎれば再延長せず、ダンピング措置を全面解除する方針を打ち出した。
加盟国は3月3日までに同提案を受け入れるかどうかを決めることになっている。