フランクフルト証券取引所の運営会社であるドイツ取引所とロンドン証券取引所(LSE)の合併計画は実現しない見通しだ。LSEが26日のプレスリリースで、欧州連合(EU)の欧州委員会から提示された合併承認の条件は受け入れられないとの立場を表明したためだ。欧州委がLSEに譲歩して合併条件を緩和することは考えにくいことから、LSEはドイツ取引所との合併を実質的に断念したとことになる。
ドイツ取引所とLSEは昨年3月に合併合意した。これに対し欧州委員会は9月、EU競争法に基づく本格調査を開始した。両社の経営統合を認めた場合、欧州における清算事業やデリバティブ(金融派生商品)取引などの分野で公正な競争が阻害される恐れがあると判断したためだ。
LSEはこれを受け、デリバティブ清算機関LCHクリアネットの仏部門をパリ証券取引所などの運営会社であるユーロネクストに売却することで合意したものの、欧州委はさらなる事業の放出を要求。国債などの電子取引システムを手がける伊MTSの株式売却を合併承認の条件として提示した。
これに対しLSEは、イタリアの全事業は同社にとって極めて重要だと指摘。また、MTSの売却を伊当局は承認しないとの見方を示し、欧州委の要求を拒否した。
ドイツ取引所との合併計画に対しては国益に反するとの反対意見が英国議会で出るなど、逆風が強まっている。このためLSEが合併を断念した背景には政治的な圧力があるとの見方も出ている。