ドイツ銀が増資、ポストバンク売却は撤回

ドイツ銀行は5日、競争力強化に向けた新たな経営戦略を発表した。巨額増資などを通して財務の健全化を図るとともに組織を再編。現在の4部門体制を3部門体制へと簡素化する。リテール子会社ポストバンクの売却計画は白紙化する。

ドイツ銀は過去の不正行為に絡んで巨額の引当金を計上し財務が圧迫されている。これを受け2013年と14年に計108億ユーロの増資を実施したものの、法務関係の引当金ですべて使い尽くした格好となった。

このため新たな増資には抵抗感があったが、背に腹は代えられないことから新たに約80億ユーロの増資を実施する。また、機関投資家向けの資産管理とファンド事業を展開する子会社ドイチェ・アセット・マネジメントの少数株を市場で公開し20億ユーロを調達する。これらの措置により狭義の中核自己資本比率(CET1比率)を14.1%、総資産に対する自己資本の比率であるレバレッジ比率を4.1%へと改善する。

同行は16年1月、富裕層向け資産管理事業を含む「個人顧客・中堅企業向け部門」、「機関投資家向け資産管理・ファンド部門(ドイチェ・アセット・マネジメント)」、債券、株式・株式関連商品、上場・店頭デリバティブ、外国為替などのマーケット事業を手がける「グローバル・マーケット部門」、企業向けM&Aアドバイザリーや債券・株式発行などのサービスを手がけるコーポレート・ファイナンス事業と決済、キャッシュ・マネジメント、リスク管理、国際貿易金融、法人信託サービスなどのグローバル・トランザクション・バンキング事業を統合した「企業顧客・投資銀行部門」の4部門体制をスタートさせた。今回の組織再編では企業顧客・投資銀行部門にグローバル・マーケット部門を統合。また、売却予定だったポストバンクを個人顧客・中堅企業向け部門と一体化する。

ドイツ銀はこれらの措置によりコスト(調整済みベース)を16年の241億ユーロから18年に約220億ユーロ、21年には約210億ユーロへと圧縮する。

組織再編に伴い従業員を削減する計画で、約20億ユーロのコストを見込んでいる。

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