生産現場向けAIを日立が独研究所と共同開発

日立製作所は8日、ウェアラブルデバイス着用者の作業内容を認識する人工知能(AI)をドイツ人工知能研究センター(DFKI)と共同開発したと発表した。生産現場で使用される道具・部品や想定される動作をAI技術の1つであるディープラーニング(深層学習)でAIに学習させることで、データから作業内容を認識することを実現した。 今後は同AIを作業支援やヒューマンエラー防止に活用し、生産現場の品質向上や効率化に貢献していく考えだ。

同AIでは眼球の動きを撮影する眼鏡型デバイス「アイトラッキンググラス」を活用して注視している物体を認識する技術と、アームバンド型デバイスを活用して作業者の動作を認識する技術を組み合わせて、作業者の行動をリアルタイムに認識する。

ドイツのインダストリー4.0や日本のソサエティ5.0などの推進に伴い、ものづくり分野ではAIやロボティクスによる生産革新に向けた取り組みが加速しており、単純作業の自動化やロボット化が進められている。同時に、作業支援やヒューマンエラー防止のため、人や設備を含めたあらゆるモノの状態・動作などをデータとして取得・認識するモノのインターネット(IoT)技術が求められている。

近年はこれを受けて、生産現場での作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆をカメラによってモニタリングするシステムも開発され、導入が進められている。DFKIと日立は今回、カメラによる画像データではなく、ウェアラブルデバイスで取得したさまざまなデータを組み合わせることで、作業者の行動を認識するAIを開発した。

同技術の一部を20日開幕の独ハノーバー国際情報通信技術見本市(CeBIT)で展示する予定だ。

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