独航空大手ルフトハンザとパイロット労組VCは15日、新しい労使協定の内容で大筋合意したと発表した。今後、詳細を詰めて最終合意する見通し。新協定が締結されると、VCが同社を対象に2012年から約5年間、断続的に行ってきたストライキは22年まで行われないことになる。VCはメディアに対し、年央までに新協定が成立する見通しを明らかにした。
両者は先月中旬、賃金協定の締結に向けた調停案の受け入れ方針を表明した。賃金以外の係争についてはその後の交渉で妥協点を探ってきた。
ルフトハンザは格安航空(LCC)と中東系航空会社の勢力拡大を受けて業績が圧迫されていることから、パイロットの好待遇見直し方針を表明。VCはこれに反発し、過去5年間で計14回のストを実施し、同社に総額5億ユーロの損害を与えた。
大きな争点となった経営サイドの要求は、パイロットの◇事実上の退職年齢を現在の55歳から引き上げる◇企業年金制度を改革する――の2点で、両者の主張は平行線をたどっていた。両者は今回、これらの点で基本合意に至っており、企業年金は確定給付型から確定拠出型へと改められることになった。
これによりルフトハンザの財務負担が大幅に軽減されることから、経営陣はこれまで停止していたパイロット新規採用の再開を確約した。新協定はルフトハンザ本体と貨物輸送子会社ルフトハンザ・カーゴ、独LCC子会社ジャーマンウイングスに適用される。