英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空の親会社である英インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は17日、新たな格安航空会社(LCC)「LEVEL(レベル)」を立ち上げ、6月に北米路線などの運航を開始すると発表した。IAGの参入により、欧州と北米などを結ぶ長距離路線でLCCによる競争が本格化するとみられている。
新会社はスペインのバルセロナに拠点を置き、ロサンゼルスに週2便、オークランド(サンフランシスコ近郊)に週3便を運航するほか、ブエノスアイレス(アルゼンチン)とプンタカナ(ドミニカ共和国)に就航する。機材はエアバスA330型機。運賃はロサンゼルスとオークランド線が片道99ユーロから、ブエノスアイレスとプンタカナ線は149ユーロからとなっており、17日に予約の受け付けを開始した。
当面はイベリア航空の乗務員が運航を担当する。将来的には250人を新規採用する計画で、アジア路線の開設を視野に、バルセロナ以外にも拠点を置く方向で検討を進めるという。
IAGはBA、イベリア航空、アイルランドのエア・リンガス、スペインLCCのブエリング航空を傘下に持ち、LEVELは5番目の主要ブランドとなる。バルセロナはブエリング航空の拠点でもあり、LEVELとの間で乗り継ぎが可能になる。
大西洋路線ではLCC大手のノルウェー・エアシャトルが急速にシェアを伸ばしており、これに対抗して独ルフトハンザや仏蘭エールフランスKLMも長距離LCC事業を強化している。一方、米国では価格競争の激化による収益悪化や雇用喪失を懸念する声が高まっており、大手航空会社や組合は長距離路線へのLCCの参入を制限するよう米政府への働きかけを強めている。