「ブレグジットは独企業に大きな痛手」=商工会議所

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)通告前日の28日、会員企業を対象に実施したアンケート調査結果を発表し、「ブレグジットは独企業の英国事業にとって大きな痛手となる」(シュヴァイツァー会長)との見解を示した。昨年6月のブレグジット決定の影響はすでに出ていると指摘。今後始まるEUと英国の交渉では打撃を可能な限り小さくすることが大切だと強調した。

アンケートは国外事業を行うドイツ企業2,200社を対象に2月に実施したもので、そのうち約1,300社が英国との貿易や現地事業を展開している。1,300社のなかで最も多いのは製品・サービスを英国に輸出している企業で、全体の90%を占めた。現地に事業拠点を持つのは26%、現地から製品などを輸入しているのは22%だった。

ドイツの対英輸出高は昨年3.5%、減少した。ブレグジット決定の影響が出たためで、減少幅は下半期が特に大きかった。

アンケートで対英事業が現在、好調だと回答した企業は29%で、不調(26%)を3ポイント上回った。ただ、今後の見通しについては悪い(40%)が良い(9%)を31ポイントも上回っており、悲観的な見方が圧倒的に強い。ブレグジット後は関税導入や煩雑な税関手続きの発生など対英事業のマイナス要因が増えると予想されるためだ。

これを反映し、「英国から投資を引き上げて他国に移管する」との回答はブレグジットの条件が定まっていない現時点ですでに9%に上った。移管先(複数回答可)ではドイツが53%で最も多く、これに「ドイツ以外のEU加盟国ないしスイス、ノルウェー」が42%、欧州域外が39%、東欧・南東欧が15%で続いた。

ブレグジット交渉で優先すべき事柄としては「ものの自由な移動」との回答が最も多く88%に達した。「(税関などの)煩雑な事務手続きを可能な限り少なく抑える」も83%と多く、これに「支払及び資金移動の自由」(67%)が続いた。離脱交渉の長期化で不透明な状況が長期化すると事業計画をその間、立てにくくなることから「交渉を速やかに行う」も51%と過半数に上った。

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