EU加盟国は3月27日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ2品種の栽培認可の是非について特定多数決による採決を行い、過半数の国が反対票を投じたものの、否決に必要な票数には届かず、規定により欧州委員会に最終判断を委ねた。欧州食品安全機関(EFSA)は両品種について「安全」との見解を示しており、欧州委はこれに沿って認可手続きを進める公算が大きい。
問題となっているのは、米化学大手デュポンとダウ・ケミカルが共同開発した「1507」と、スイスに本社を置く農薬最大手シンジェンタの「Bt11」。採決では加盟国の過半数が認可に反対を表明したが、それらの国の人口がEUの総人口の65%に満たないため、特定多数決のルールにより決定を持ち越した。
一方、加盟国は米モンサントの害虫抵抗性のトウモロコシ「MON810」について、栽培認可を更新するか否かについて採決を行った。これについても過半数の国が更新に反対を表明したものの、否決に必要な票数を得ることはできなかったため、欧州委が最終判断を下すことになる。
GM作物をめぐっては、英国やスペインなどの推進派とフランスを中心とする反対派の間で依然として溝が深く、安全性に対するEU市民の懸念も根強い。2016年末までに食用および飼料用として55品目の輸入が認可されているが、実際にはすべて家畜飼料として使用されている。一方、域内での栽培が認可されているのは現在のところ「MON810」のみで、実際に栽培されているのはスペインのごく一部の地域にとどまっている。