ポルトガル政府は3月31日、国内大手銀行バンコ・エスピリト・サント(BES)の経営破綻を受けて新設されたノボバンコを米投資ファンドのローンスターに売却することで合意したと発表した。ローンスターはノボバンコの株式75%を取得する条件として、同行に総額10億ユーロの資本注入を行う。
ノボバンコはポルトガル政府がBES救済のため、同行の優良資産を引き継いで2014年8月に発足させた新銀行。資産額で国内3位に相当する。政府は破綻処理基金(Bank Resolution Fund)を通じてノボバンコに注入した49億ユーロの公的資金を回収するため、民間に売却することを決定。15年に実施した売却入札には中国の安邦保険、同コングロマリット(複合企業)の復星国際、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの3社が応札したが、応札額が想定水準を大きく下回ったため、売却を延期していた。
ポルトガル中央銀行の発表によると、ローンスターは取引完了時に7億5,000万ユーロをノボバンコに注入し、その後3年以内に2億5,000万ユーロを追加して同行の資本増強を図る。なお、ノボバンコの残り株式25%は引き続き破綻処理基金が維持する。
コスタ首相は記者団に対し、「売却先が決まったことで、ノボバンコが将来にわたって金融機関としての役割を果たすことが保証された。ローンスターとの取引が国庫に影響したり、納税者に新たな負担を強いることはない」と強調。中銀のコスタ総裁は「ノボバンコの売却は銀行システムの安定化に向けた重要なステップになる」と述べた。