BASF―米農薬大手FMC買収を検討か―

化学大手の独BASF(ルートヴィヒスハーフェン)が米農薬大手FMCの買収を視野に入れているとの観測が浮上している。農業化学業界では巨大合併で下位メーカーを圧倒する2大大手が誕生しようとしていることから、BASFは買収を通して追撃する考えとみられる。ロイター通信が消息筋の情報として報じた。両社はコメントを控えているものの、BASFの広報担当者は買収と事業売却の可能性は常に検討していると回答した。

農業化学業界では再編の動きが活発化している。市場環境の悪化を受けて事業規模拡大の必要性が高まっているためで、農業化学の世界6大メーカーのうちBASFを除く5社はM&Aを通した企業規模の拡大に取り組んでいる。

BASFの農業化学部門を統括するマルクス・ヘルト氏は昨年9月の記者会見で、「我々の成長にとって決定的に重要な要因は顧客志向と敏捷性だ」との見解を表明。BASFは市場で長期的に生き残るために必要な事業規模をすでに確保済みだとして、規模の拡大を優先する競合に一線を画した。この姿勢に対しては株主から批判が出ている。

ロイター通信によると、BASFは昨年、FMCの買収を密かに検討したものの、まずは競合企業がM&Aの承認を当局から得るために放出する事業の獲得を優先することを決定。FMC買収の検討を棚上げにした。競合企業からの事業買収の結果次第ではFMC買収の検討を再開する可能性があるという。

FMCは新興国で需要が大きい特許切れ農薬の有力企業で、従業員数は約6,000人、売上高は約33億ドル。

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