大学教育に費やしたコスト(投資)は年平均10パーセントの利子が付いた生涯所得として報われる。Ifo経済研究所機関の教育経済学者リュドガー・ウォスマン氏ら3人の研究者が3月29日に調査結果を発表した。
ウォスマン氏らは学歴による生涯年収格差を調査した。その結果、高学歴ほど生涯年収が多い傾向が明らかになった。手取り生涯年収をみると、総合大学卒業者は約100万ユーロ、専門単科大学卒業者は約87万ユーロ、マイスター取得者は約73万ユーロとなる。また、職業学校卒業者は卒業していない人より14万ユーロ多い。マイスターや技能資格の取得者は資格を取得しなかった職業学校卒業生よりも13万ユーロほど多い。総合大学卒業者と単科大学卒業者は職業学校卒業者と比べ、それぞれ38万7,000ユーロ、26万7,000ユーロほど生涯年収が多くなっている。
男女の所得格差も非常に大きい。男性の場合、総合大学卒業者と職業学校卒業者の生涯年収の格差は48万7,000ユーロに広がるが、女性は28万ユーロにとどまった。
大学の専攻科目によっても大きな格差が見られた。最も生涯年収が多いのは医学専攻者で、職業学校卒業者と比べ、男性で98万3,000ユーロ、女性で61万3,000ユーロの開きがある。一方、最も生涯年収の少ないのは社会福祉関係の専攻者で、職業学校卒業生と比べ男性で2万ユーロ、女性では7万9,000ユーロ多いにとどまった。
ウォスマン氏は「高学歴人材への需要はますます高まっているため、高学歴者の賃金は上がっている。今後10年、20年もこの傾向は変わらない」とみている。