欧州証券市場監督機構(ESMA)は4日、格付け会社に対する規制に関連して、金融機関などがEU域外の格付け会社が付与した信用格付けを利用するための条件を厳格化する方針を打ち出し、3カ月にわたる意見募集を開始した。7月3日まで各方面からコメントを受け付け、寄せられた意見を踏まえて第4四半期をめどに新たな指針をまとめる。
現行規則によると、域外の格付け会社が付与した信用格付けを利用するには◇同一グループに属するEU域内の格付け会社が承認(endorse)する◇域外の格付け会社が本国の規制当局の監督下にあり、当該監督がEU規制と同等の実効性があると欧州委員会が評価した場合に、EU各国の当局が格付け利用を認める証明を与える――という2通りの方法がある。ESMAが見直しを提案したのは、このうち域内の同一グループによる承認の条件に関するもの。マイヨール会長は、EU内では同一グループによる承認システムを通じ、域外の格付け会社が付与した信用格付けが広く利用されていると指摘し、これまでのような「自動的」な承認は認められないとの考えを示した。
ESMAは同一グループによる承認の条件として、新たに◇EUの監督下にある格付け会社は、域外の格付け会社がEUと同等の厳格な規制上の要件を満たしていることを証明しなければならない◇ESMAは域外の格付け会社が適正に格付けを付与しているかどうかを確認するため、域内に拠点を置く同一グループの格付け会社に対して直接情報提供を求める権限を有する――の2点を指針に加える方針を示している。