欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2017/4/24

EU情報

仏大統領選、マクロン氏とルペン氏が決選投票に

この記事の要約

フランスで23日に実施された大統領選の第1回投票で、親EUを唱える独立系のエマニュエル・マクロン前経済相(39)と反EU、移民排斥を掲げる極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48)が勝ち残った。5月7日に行われる決選投 […]

フランスで23日に実施された大統領選の第1回投票で、親EUを唱える独立系のエマニュエル・マクロン前経済相(39)と反EU、移民排斥を掲げる極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48)が勝ち残った。5月7日に行われる決選投票は、EUをめぐる立場が両極端の2候補が対決し、EUの行く末を大きく左右することになる。

大統領選には11人が立候補した。仏内務省によると開票率が96%の時点の主要候補の得票率はマクロン氏が23.9%、ルペン氏が21.4%。中道右派・共和党のフランソワ・フィヨン元首相(63)が19.9%、急進左派・左翼党のジャンリュック・メランション氏(65)が19.5%。過半数を確保した候補者がいなかったため、上位のマクロン氏、ルペン氏が決選投票に進む。

大統領選は当初、フィヨン氏が支持率でリードしていたが、家族への公金不正支払い問題で失速。一時はマクロン氏とルペン氏による一騎打ちの構図となった。しかし、選挙戦の終盤になって、ルペン氏と同じく反EUではあるものの、離脱ではなく国内労働者の保護に向けたEU改革を掲げるメランション氏が急激に追い上げ、大混戦となった。反EU派のルペン、メランションの両氏が決選投票に残るというEUにとって悪夢のシナリオも、現実味を帯びていた。

それだけに、マクロン氏が1位で第1回投票を通過したことはEUに朗報で、24日のアジア外国為替市場ではユーロが急騰。対ドルで5か月ぶりの高値まで上昇した。

6年前に父親から国民戦線党首を引き継いだルペン氏は、反ユダヤ主義の否定など「脱悪魔化」と呼ばれるソフト路線を打ち出し、同党の異端的なイメージの改善に取り組んで支持基盤を大きく拡大した。

しかし、EU問題に関しては保革の既存政党の現状維持路線に反発し、英国に続いて離脱の是非を問う国民投票の実施を公約に掲げている。親EUを訴えるマクロン氏と真っ向から対立する。さらに両氏は、移民問題でマクロン氏が受け入れ継続、ルペン氏が排斥を唱え、経済問題でもマクロン氏がグローバル化支持、ルペン氏が保護主義と、ことごとく路線が異なる。

決選投票では、両氏が第1回投票で敗れた候補の票をどれだけ取り込むことができるかが焦点となる。すでにフィヨン元首相と、5位にとどまった社会党のブノワ・アモン前教育相がマクロン氏支持を表明した。最新世論調査はマクロン氏が64%と、ルペン氏の36%を大きくリードしており、決選投票はマクロン氏が優勢となっている。