後発医薬品大手の独シュターダ(バート・フィルベル)は10日、同社の売却に向けた入札で投資大手ベイン・キャピタルとシンベンからなる企業連合が落札したと発表した。同企業連合は今後、シュターダを対象に株式公開買い付け(TOB)を実施し、買収する予定だ。
シュターダ株を1株当たり65.28ユーロで買い取るほか、シュターダ株の配当0.72ユーロを支払う。合計は1株66ユーロで、買収観測が出る直前(2016年12月9日)の終値を48.9%、過去3カ月間の加重平均株価を19.6%それぞれ上回る。シュターダを債務も含めて53億1,800万ユーロと評価したことになる。75%以上の株式確保をTOBの成立条件としている。
シュターダに対しては他の投資家も買収を目指し、最終選考には投資会社アドベントとパーミラからなる企業連合とベイン/シンベン連合が残った。シュターダの経営陣はこの状況を利用して両企業連合に買収提示額の引き上げを要求。ベイン/シンベン連合は買収提示額でアドベント/パーミラ連合を上回ったうえ、雇用・事業拠点の保持や経営戦略の支持も打ち出し落札に成功した。企業価値(EV)が減価償却前営業利益(EBITDA、調整済みベース)の何倍になっているかを示すEV/EBITDA倍率は13倍を超えた。
製薬業界では各国政府の薬剤費抑制政策を背景に安定した業績が見込める後発医薬品メーカーに対する関心が高まっており、シュターダの競合である独ラティオファームは2010年、後発薬世界最大手のテバ(イスラエル)に買収された。ドイツ最大の独立系後発薬メーカーであるシュターダに対しても投資家の関心は強く、同社は今回、身売りに踏み切った。