欧州中央銀行(ECB)は11日、英国のEU離脱を受けてロンドンからユーロ圏に拠点を移す計画の銀行に対し、速やかに移転準備を進めるよう勧告した。ユーロ圏に中核拠点を移し、新たに事業認可を取得するには通常、6カ月程度を要するとの見方を示す一方、手続きは最長で1年に及ぶ可能性もあるとして、早めに対応するよう促している。
英国は2019年3月にEUを離脱する予定だが、ロンドンに拠点を置く銀行はそれまでにユーロ圏に拠点を設けて認可を取得しないと大陸欧州でサービスを提供できなくなる公算が大きい。ECBは今回、ユーロ圏への移転を検討している銀行向けに、Q&A形式で主な注意点をまとめた。
認可手続きについては申請順に審査を開始し、認可までの期間は「通常6カ月」としたうえで、認可の可否は「申請日から12カ月以内に決定を下す」と説明。一方、ECB首脳は事前承認を義務付けているリスク測定の金融モデルなど、認可取得のための規制要件を一時的に緩和する可能性を示唆しているが、これに関連してQ&Aでは「架空会社を受け入れることはできない」と警告。移転手続きを簡素化した場合でも、ユーロ圏で事業展開する銀行は十分なリスク管理や人員体制を整える必要があると強調している。
英国のメイ首相が3月末にEU離脱を正式に通知したことを受け、大手銀行は近くロンドンを拠点としてきた事業の一部をユーロ圏の新拠点に移転するための手続きを開始する見通し。移転先としてはフランクフルト、パリ、ダブリンなどが中心になるとみられている。