州議選で社民がまたも敗北

ドイツ北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州で7日、州議会選挙が実施され、即日開票の結果、最大与党の社会民主党(SPD)は得票率を大きく落とし、同州で野党に転落する公算が高まった。SPDは3月のザールラント州議選でも中道右派の大政党キリスト教民主同盟(CDU)に敗北。来週の日曜日(14日)に行われるノルトライン・ヴェストファーレン州議選で再び敗れると、9月の連邦議会(下院)選挙を占う重要な州議選すべてで敗北することとなり、同党は戦略の修正を迫られる可能性がある。

シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州議選では、CDUが得票率を2012年の前回選挙から2.2ポイント増の32.0%へと拡大。SPDは3.2ポイント減の27.2%となり、大きく水をあけられた。環境政党・緑の党は0.3ポイント減の12.9%、中道右派の自由民主党(FDP)は3.3ポイント増の11.5%だった。

移民排斥政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は初参加で5.9%を獲得し、同州議会への進出を果たしたものの、昨年の州議選(他州)に比べると得票率は低く、難民問題を追い風とした急速な党勢拡大にブレーキがかかっている。3月のザールラント州議選でも6.2%にとどまった。

このほかデンマーク系住民政党の南部シュレスヴィヒ有権者連盟(SSW)が議席を確保した。

各党の新議席数はCDUが25、SPDが21、緑の党が10、FDPが9、AfDが5、SSWが3。SSWの得票率は3.3%で、議席獲得に本来必要な同5%の最低ラインに届かなかったものの、少数民族政党であるため特例措置で議席の配分を受ける。

総議席数は73で、過半数議席数は37。議席を獲得した6政党のうちAfDとSSWが政権に参加することはないため、次期政権の可能性は(1)CDUと緑の党、FDPの3党からなるいわゆる「ジャマイカ政権(3党のシンボルカラー黒緑黄がジャマイカ国旗の配色と一致することにちなんだ命名)」(2)SPDと緑の党、FDPの3党からなる「信号政権(3党のシンボルカラー赤緑黄にちなんだ命名)」(3)2大政党のCDUとSPDからなる大連立政権――の3つに絞られる。第一党のCDUはジャマイカ政権を軸に連立交渉を進める意向を示している。

SPDはマルティン・シュルツ前欧州議会議長を同党の次期連邦首相候補に選定した1月下旬以降、支持率が全国的に急上昇した。2000年代の構造改革「アジェンダ2010」の副作用として非正規雇用が拡大したり、高齢労働者の貧困転落懸念が強まっている現状の是正方針を打ち出したためだ。ただ、最近は「シュルツ効果」がやや弱まり、それに反比例する形でメルケル首相を党首とするCDUの支持率が高まっている。

ノルトライン・ヴェストファーレン州でも同州与党のSPDはCDUに追い上げられており、シュルツ候補は次の一手を速やかに打つ必要がありそうだ。

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