社民が州議選3連敗、シュルツ効果の失速鮮明に

デュッセルドルフを州都とする独西部のノルトライン・ヴェストファーレン州で14日、州議会選挙が行われ、同州の最大与党・社会民主党(SPD)は得票率を大幅に落とし、中道右派の大政党・キリスト教民主同盟(CDU)に大敗した。SPDは3月のザールラント州議選と7日のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州議選でもCDUに敗れており、9月の連邦議会(下院)選挙の前哨戦ですべて敗北したことになる。同党はマルティン・シュルツ前欧州議会議長(現党首)を連邦首相候補に任命した1月以降に支持率を急速に伸ばしたものの、その効果は急速に弱まっていることが州議選の3連敗で鮮明になった格好だ。

SPDの得票率は前回選挙(2012年)の39.1%から31.2%へと7.9ポイント低下。CDUは同26.3%から33.0%へと6.7ポイント上昇した。同州の連立与党である緑の党も11.3%から6.4%へと大幅に低下しており、与党が有権者の信任を失ったのは明らかだ。

同州のSPDはシュルツ効果で一時、CDUに大きく差をつけ、州議選の勝利は確実とみられていた。だが、世論は4月に大きく変化。選挙直前の11日に調査機関ヴァーレンが実施したアンケートではCDUの支持率が32%に達し、SPD(31%)をわずかに追い越した。

与党のSPDと緑の党が敗北した原因の1つは、CDUなどの野党が有権者の不満が大きい政策分野に的を絞って攻撃を仕掛けただめだ。具体的には教育・保育、治安、道路などインフラの老朽化の3点を攻め立てた。

だが、3月以降の他の州議選と同様に、SPD敗北の原因の一端がシュルツ党首にあることも否定できない。

世論調査機関インフラテスト・ディマップの分析によると、前回投票を棄権した有権者で今回、投票を行った人のうち半数以上(44万人)はCDUに投票。前回SPDに投票した有権者のうち31万人もCDUに鞍替えした。

背景には、シュルツ党首が打ち出した構造改革是正方針の実現には、急進左派の左翼党を含む左派連立政権の樹立が必要とみられることがある。中道・保守系の有権者はこれに危機感を持っており、今回の選挙で中道右派のCDUと自由民主党(FDP)に票が集まる結果となった。投票率が前回の59.6%から65.2%へと大きく上昇したことは、これと符丁が合う。SPDの支持率は構造改革是正の恩恵を受ける失業者を除いてすべて低下した。

各党の獲得議席数はCDUが72、SPDが69、FDPが28、移民排斥政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が16、緑の党が14。合計は199で、過半数ラインは100となっている。

次期政権はAfDを除く4党のうち2党ないし3党が樹立することになる。現時点ではCDUとFDPの中道右派政権(議席数:計100)とCDUとSPDの大連立政権(同141)が有力だ。

同州のハンネローレ・クラフト首相(SPD)は14日、選挙敗北の責任を取ってSPD副党首とSPD州議長職を辞任した。今後は一介の州議会議員として活動していく。

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